幼稚園選び、子どものことを思うと絶対に失敗したくないですよね。どんなことに気をつけて選んだらいいのでしょうか。
この記事では、現在2歳の子を育てている筆者が、実際に複数の幼稚園を見学・検討した経験をもとに、幼稚園選びの10のポイントを解説します。
幼稚園選びの10のポイント
◎幼稚園選びの主なポイント
1.子どもたち、先生たちの様子
2.2年保育、3年保育
3.プレ保育
4.家からの距離
5.園バス(ルート・乗車時間)
6.トイレトレーニングへの理解
7.宗教
8.保護者の園行事への参加の程度
9.預かり保育
10.お弁当・給食の割合
実は幼稚園選びのポイントに優先順位はほとんどありません。
というのも、どのポイントを優先すべきかというのはそれぞれのご家庭の状況によって異なるからです。(どんな状況の場合にはどんな選択をすればよいのかについては、この記事で解説していきます。)
まずはどんなポイントがあるのかを知っていただき、その上で自分たち家族はどのポイントを優先するのか考えてみましょう。
1.子どもたち、先生たちの様子
子どもたちの様子
・笑顔で楽しそうに過ごしているか
・遊びに熱中しているか
先生たちの様子
・疲れや余裕のなさ、イライラした様子はないか
・先生たちがギスギスした様子はないか
・子どもたちに優しく接しているか
唯一、幼稚園選びで必ず確認していただきたいポイントはこちら。子どもたちと先生たちの様子を絶対に確認しましょう。
子どもたちは自然な笑顔で楽しそうに遊んでいるか、のびのびと過ごしているか、遊びに熱中できているか、といったことを観察しましょう。
先生たちは、多忙や人手不足等の理由で、疲れていたり余裕がなかったりしないか確認しましょう。疲労がたまっていたり精神的に追いつめられていたりすると、園児を感情的に怒ってしまったり(体罰や虐待の恐れもあります)、必要な安全確認を怠ってしまったりする恐れがあります。
また先生たち同士が不仲な様子で、やり取りがギスギスしていたりしていないでしょうか。業務上のコミュニケーションが円滑に取れていない恐れがあります。
こういったことは、子どもたちへの接遇に影響を及ぼす恐れがありますので(事故や虐待など)、非常に重要なポイントです。
また、子どもたちに接する態度は優しく愛情を感じられるか、子どもたちが先生たちを信頼して慕っている様子はあるか、確認しましょう。
2.2年保育、3年保育
2年保育(4歳の4月から入園)
メリット
・入園までの期間が長いので、親子の時間を十分にとれる
・トイレトレーニングを急ぐ必要がない
・早生まれの子でも、成長を1年間待てるので園の生活に順応しやすい
デメリット
・入園までの1年が自宅保育のため、親だけで育児する期間が長い
・子どもが他の子と交流する機会が限られる
3年保育(3歳の4月から入園)
メリット
・子どもが他の子と交流する機会を十分に作れる
・自宅保育の期間が短くなる分、親だけでなく幼稚園と協力して育児できる
デメリット
・親子の時間が短くなる
・入園までにトイレトレーニング完了を求める園だと親子ともプレッシャーに
・早生まれの子は、他の子と約1年分の発達の差がある
2年保育・3年保育それぞれに、メリットとデメリットがあります。どちらが正しいといったことはありません。それぞれのご家庭の実情に合った園を選べば良いと思います。
3.プレ保育
プレ保育(未就園児クラス)とは
正式な幼稚園入園をしていない1歳~3歳の子(未就園児)が、幼稚園で実際に園生活を体験させてもらえる制度。1年間行われ、毎週1~4回ほど実施されることが多い。画用紙等の教材費を1回あたり数百円支払う。
プレ保育の目的とは
幼稚園側
・園児の青田買い
・子どもたちと園の方針が合致するか確認
保護者側
・園の様子を1年間に渡って確認できる
・子どもと園の相性を探れる
・行き詰まりがちな自宅保育の息抜きになる
園によっては…
・プレ保育に参加している子が優先的に入園できる場合がある
プレ保育は、保護者としては、長期にわたって園の様子を知れるため、非常に有り難い制度です。
それぞれの園が独自にプレ保育を実施しています。園のホームページに掲載されていたり、近所の家々にチラシが配布されたりします。もし興味がある場合には、早めに情報収集してみましょう。
曜日をずらせば、複数の園を掛け持ちできます。2~4園くらい覗いておくと、各園の特徴がわかりやすいです。
ただし、こちらもご家庭によってご事情があると思いますので、無理に参加する必要はないでしょう。我が家も、子どもが2歳1か月の頃にプレ保育に連れて行ったところ号泣してしまい、結局どこの園のプレ保育にも参加できませんでした。その後、特に問題なく幼稚園の入園試験に合格しています。
4.家からの距離
家から近いと…
・送迎が楽
・徒歩や自転車で送迎できる
・天候が悪い日でも送迎しやすい
・狭い範囲で選ぶため園の選択肢は限られる
家から遠いと…
・親が送迎しようとすると大変
・徒歩は困難なので、自転車や車での送迎になる
・園バスのバス停が自宅近くにあるか確認が必要
・より広い範囲で選べるため多数の園から選べる
子どもの園への送り迎えは毎日のことになるため、家からの距離や送迎の手段をどうするか事前に検討しましょう。
送迎は当然、天候の良い日ばかりではなく、雨や雪の日、夏の暑い日、冬の寒い日などでも休まず行う必要があります。また、パパママの体調が悪かったり、下の子の妊娠・出産・赤ちゃんのお世話等のライフイベントが発生する場合もあります。
他方で、家から近い幼稚園のみに候補を絞ってしまうと、園選びの選択肢が少なくなってしまいます。
自宅と園との距離だけで決めず、他の点も考慮に入れて総合的に決定すると良いでしょう。
5.園バス
園バス
メリット
・親の送迎の負担が軽減される
・子どもはお友達とバスに乗れる
デメリット
・園に行かないため親が先生と会話する機会が減る
・乗車時間が長いと子どもの身体的な負担になる
・交通事故等のリスクがある
・園での習い事の日は利用できない
園バス利用にあたり確認すること
・ルート
・バス停と自宅の位置関係
・何分間くらい乗車するのか
自宅の近くに園バスのバス停がある場合、やはりとても便利です。他方でデメリットもあるため、事前に確認の上、検討しましょう。
6.トイレトレーニング
トイレトレーニング(トイトレ)とは
子どもがおむつで排泄する状態から、トイレで排泄ができる状態になるよう練習すること。個人差が大きいため、3歳でオムツが外れていなくても、発達上まったく問題ない。
入園前に園に確認すべきポイント
・入園までにオムツを外させる方針か
・夏のプール遊びに水遊びオムツで参加できるか
トイレトレーニング(おむつ外し)は、園によって方針が異なります。
各園の方針は、大まかに以下の4パターンに分かれます。
入園までにオムツが 取れている必要があるか | 夏のプール遊びに オムツで参加できるか | |
---|---|---|
1 | オムツは必ず取れていてほしい (義務) | プールに オムツは× |
2 | オムツが取れるよう努力してほしい (努力義務) | プールに オムツは× |
3 | オムツが取れていなくても良い | プールに オムツは× |
4 | オムツが取れていなくても良い | プールに オムツも〇 |
もし現在トイレトレーニングの最中で、入園後もオムツの可能性がある場合は、事前に必ず園の方針を確認しておきましょう。
なお、排泄の発達度合いは、一人ひとり非常に大きく異なります。医学的には3歳でトイトレが終わっていなくてもまったく問題ありません。むしろ親や教師の焦りやプレッシャーが子どものストレスとなり、トレーニングの障壁となることもあります。「いつかはちゃんとトイレで排泄できるよね」と気楽に捉えましょう。
我が家も子どもが2歳7か月でちょうどトイトレ真っ最中。トイレの補助便座に腰かけることを怖がり、まったく練習が進んでいません。ですが、強制せずに楽しい雰囲気を心がけています。無理強いすべきでないと思っているからです。幼稚園もトイトレ未了でも良いという園を選ぶ予定です。
7.宗教
宗教の種類
・キリスト教系
・仏教系
・神道系
・無宗教系
宗教の程度(例)
・朝の会や帰りの会、食前などにお祈りをする
・宗教行事(日曜のミサ等)に参加が義務づけられている
・定期的に宗教指導者の説話を聞く時間が設けられている
・保護者も宗教イベントへの参加が求められる
事前に検討すべきポイント
・親の宗教観に合致するか、許容できるか
・子どもから宗教について聞かれた場合どう対応するか
幼稚園の中には、宗教と関わりがある幼稚園もあります。宗教にも様々あり、また、どのくらい宗教色が強いかというのも園ごとに濃淡があります。
事前に園の方針や雰囲気を確認し、保護者の考え方や方針、宗教観と合致するかどうか、合致しないとしても許容できるかどうか、調べておきましょう。
園で習った宗教について子どもが家で話したり、自発的に食前にお祈りをしたりすることがあります。そんなとき、あまりにも親の考えと異なると、親子ともに心が苦しくなるかと思います。
また、園の宗教について子どもに聞かれた場合、どんな風に説明をするのかを事前に考えておくと安心でしょう。
8.園行事への参加
園行事への保護者の参加
メリット
・園の様子を確認できる
・子どもの成長を見られる
・他の保護者と親密になれる
デメリット
・時間をとられる(親の時間が減る)
・他の保護者とのやり取りが生じる
保育園と異なり、幼稚園の行事は平日に行われることが多いです。また、子どもだけでなく保護者も参加するよう求められます。
行事などに参加するメリットは、第1に子どもの成長が見られることでしょう。
第2に、園が保護者や地域に開かれている分、出入りする保護者の視線があるで、園の事故や虐待を予防する効果が高いでしょう。常に周囲の目があるので、園児の安全を確保するという点で非常に安心です。
第3に、他のママさん、パパさんと行事の準備で協力しあう中で、情報交換をしたり、親交を深めたりできるのもメリットです。
他方でデメリットもあります。行事に時間や体力を割かれてしまうという点です。子どもの教育費や家計のために就労したい方、介護や下の子の育児などで頻繁に外出できない方、趣味など自身の時間を充実させたい方、には頻繁な行事等への参加は負担が大きく感じられるでしょう。
また、コミュニケーションに苦手意識がある方にとっては、行事の準備のために他の父母さんたちとやり取りをするのはストレスに感じられるかもしれません。
保護者の得意・不得意に沿う形で、選択すれば良いと思います。
9.預かり保育
預かり保育とは
幼稚園の基本時間以降(13時以降)や長期休暇(春休み・夏休み・冬休み)にも、幼稚園が子ども達を預かってくれ、保育を行ってくれるサービスのこと。
園ごとに、実施する日数・費用・終了時刻・受け入れ人数・抽選の有無など違いがある。共働き世帯の増加に伴い、近年、実施する園が増えている。保育園の待機児童問題もあり、就労する保護者の受け皿になっている。
メリット
・保護者がその間に就労、家事などを行える
・習い事を行う園もあり、子の経験が広がる
デメリット
・保育内容が単調だと子どもにとって退屈な状況が長時間続くことになる
・預かり保育時に保育士等の人数が減り、安全管理できない恐れがある
・保護者がフルタイムで勤務できるほどには充実していない場合がある
預かり保育の注意点
預かり保育の注意点
・保育内容は単調でないか
・職員は資格があるか、人数は十分か
・(共働きの場合)①毎日、②長期休暇も、③希望者全員が、利用できるか
・利用する園児の割合は少なすぎないか
預かり保育のある幼稚園を選ぶにあたり、事前に確認すべき点がいくつかあります。
預かり保育時の保育内容は単調でないか
OK
外遊び、室内遊びなど多様な遊びが行われている
NG
・何時間もビデオを見せるだけ
・少ない玩具のみで狭い部屋で保育している
職員は資格があるか、人数は十分か
OK
保育士資格や幼稚園教諭資格を持った職員が十分に配置されている
NG
経験の浅い職員が少人数で対応している
(安全管理が手薄になる恐れがある)
(共働きの場合)①毎日、②長期休暇も、③希望者全員、利用できるか
OK
平日はもちろんのこと、夏休みなども希望者全員が預かり保育を利用できる
NG
・平日でも預かり保育を実施していない曜日がある
・抽選で外れると利用できない日がある
・長期休暇時は預かり保育もお休みになってしまう
利用する園児は少なすぎないか
OK
多数の園児が預かり保育を利用するため、子どもも納得し楽しんでくれる
NG
ごく少数の園児しか預かり保育を利用しないため、子どもが不満を感じる
(「なんで他の子は早く帰るのに、我が家のお迎えは遅いの?」)
10.お弁当と給食の割合
お弁当と給食(園の業者のお弁当) について
幼稚園は保育園と異なり、園内で食事を作り提供する義務がありません。そのため、園児の昼食は原則は保護者の作るお弁当となります。例外的に、幼稚園が業者に発注する弁当を利用できる場合があります。
保護者の作るお弁当の特徴
・保護者は子どもの食の好き嫌いを把握しているのでメニューを工夫できる
・誤飲・誤嚥のリスクを低減できる
(ミートボール、巨峰など窒息の恐れのあるメニューを回避できる)
・ほぼ毎日作るので保護者の負担が大きい
給食(園の業者のお弁当)の特徴
・保護者が弁当を作る負担を軽減できる
・園児がみんなで同じメニューを楽しめる
・業者によっては貧相な食事の場合がある
お父さんお母さんが作るお弁当、子どもの頃は嬉しかったですよね。ですが、作る側になるとこれが大変…!子どもの好きなメニューにしながらも栄養バランス良く食べてくれる献立を考えたり、毎日同じにならないように工夫したり…。
もちろん良い面もあります。前述のとおり、子どもは保護者の愛情を感じられますよね。また、のどに詰まらせやすく危険と言われている食品は、小さく切り分けるなど、安全な食事を確実に提供できます。アレルギーがある場合も除去食を作ってあげられるので安心です。
他方で業者による給食(お弁当)の場合は、保護者が作らなくていいのでとっても気が楽です。子ども達もお友達と同じメニューで楽しいかもしれません。
ただし気をつけなければいけないポイントも。業者の中には、栄養バランスが偏っていたりメニューが貧相だったり、毎回同じような献立の給食(お弁当)を提供するところもあります。事前に幼稚園から給食の写真やサンプル、チラシなどを見せてもらい、問題ないか確認しておくと安心でしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
幼稚園選びにはたくさんの見るべき点があり、迷ってしまいますね。でも何より大切なのは、お子さんたちが笑顔で楽しく過ごせる園はどこかという視点かと思います。もし自分が通うとしたらどこの園に行きたいかと考えると答えがハッキリするかもしれません。
春から幼稚園に通う我が子の姿は、楽しみでありながら、ちゃんと上手く過ごせるかドキドキしますね。お父さんお母さんたちがこれまで一所懸命に育て上げてきたお子さんの成長した姿。今この時にしか見られない、かけがえのない子どもたちの生き生きとした姿を、一緒に愛しんでいきましょう!